JAいぶすき観葉植物部会
公式WEBサイト

指宿紹介

3.指宿植物試験場

鹿児島高等農林学校初代校長玉利喜造博士は、赴任以前の1887年(明治20)に熱海温泉で、1903年 (明治36)に岩手県盛岡温泉で蔬菜栽培への利用を試みられたが成功には至らなかった。同博士は1909年(明治42)に校長として赴任されると指宿の温 暖な気候と温泉の活用を目指され、研究構想をたてられた。

1916年(大正5)には指宿村十町玉利の温泉蒸気の自噴する権太郎(地名)で自費を投じてウズラの孵卵を試みられたが成功に至らなかった。当時は人口孵卵についての技術の遅れと、不慣れな管理ではなかったかとみられた21)

1917 年(大正6)、指宿村議会は温泉利用の研究を支援しようと指宿村立石に34.12aの土地を鹿児島高等農林学校に寄付した。この地は海抜90mで98℃の 蒸気が噴出し、温泉地獄と呼ばれていた傾斜地で利用可能な水源がなく、しかも岩石原であったことから、利用困難で研究に着手できなかった。

玉 利校長の温泉利用研究への熱意にひかれた指宿村議会は、1918年(大正7)10月に再度議決して指宿村字十町の弥次ケ湯東隣接地(現指宿植物試験場) 30.3aを買収して鹿児島高等農林学校に寄付した。その後の試験場の運営・発展に尽くした歴代施設長は第4表のとおりである。

第4表.指宿植物試験場歴代施設長
在任年/月 職名 氏名
1921~ 主事 草野 嶽男
1942.4~1949.5 主事 中村三七郎
1946.6~1967.3 主任 中山 定徳
1967.4~1993.11 主任 石畑 清武
1993.11~現在 主任 遠城 道雄

1.栽培試験の開始


指宿植物試験場の植物温室(上)と両屋根式温室(下)。19)


指宿植物試験場栽培温床(大正8年式)。19)

鹿児島県高等農林学校は指宿村の土地寄付を受けて直ちにこれの利用計画をたて、1919年(大正8)1月には温泉熱利用の試験に着手した。同年3月 7,880円の予算で長さ16.2m(9間)、幅7.2m(4間)、棟高5.4m(3間)の四分の三式ガラス温室1棟ほか管理棟201㎡を建設した。同年 度内に隣接地95aを買収し、さらに0.8aの寄付を受けた。同年冬より長さ3.6m(2間)、幅1.2m(4尺)の木製枠でナスおよびキュウリ、ガラス 温室では140種の熱帯植物の栽培試験を開始した。19)

第5表.指宿植物試験場栽培植物目録(大正時代末期)18)
温室栽培植物目録
植物名 科名 原産地 学名 備考
アラビヤコーヒー あかね科 熱帯アフリカ Coffea arabica L. コーヒー原料
果物時計草 とけいそう科 ブラジル Passiflora edulis Sims ジュース原料
マラバルチエストナット わたのき科 熱帯アジア Pachira macrocarpa Schlecht. 果実を食用
茘枝 むくろじ科 中共南部 Litchi chinensis Sonn. 果実を食用、美味
カツサバ たかとうだい科 ブラジル Manihot utilissima Poht. 根(塊根)を食用、澱粉をとる
タマリンド まめ科 アフリカ Tamarindus indica L. 実を食用にする
シーグレプ たで科 アメリカ Coccoloba unifera L. 果実を食用
三尺バナナ ばしょう科 東南アジア Musa cavendishii Lamb.
大薯 やまいも科 Dioscorea alata L. 塊根を食用
パイナップル あななす科 中央アフリカ Ananas comosus Merr. 果実を生食、罐詰
パパイヤ ちヽうりのき科 熱帯アメリカ Carica papaya L. 果実を生食
サポジラ あかてつ科 Achras sapota L. チューインガム、果実は生食
アボカード くすのき科 メキシコ Persea drymifolia Cham.et Schlecht. 果実を生食
パンノキ くわ科 太平洋諸島 Artocarpus communis Forst. 果実を食用
ミッチャム薄荷 唇形科 ヨーロッパ Mentha piperita L. 香料
スペアミント 北米 Mentha viridis L.
時計草 とけいそう科 ブラジル Passiflora caerulea L.
仏桑花 あおい科 中国南部 Hibiscus rosa-sinensis L.
風鈴咲仏桑花 北アフリカ Hibiscus schizopetalus Hook.f.
アカリファ たかとうだい科 東印度 Acalypha hispida Burm. 葉を観賞
セイシボク 印度支那 Excoecaria cochinensis Lour.
イカダカズラ おしろいばな科 南米 Bougainvillea spectabilis Willd.
ブウゲンカズラ B.glabra Choisy var. sanderiana.hort.
アサヒカズラ たで科 メキシコ Antigonon leptopus Hook.et Arm
ヴァニラ らん科 印度 Vanilla planifolia Andr. 香料
ゴクラクチョウクワ ばしょう科 南アフリカ Strelitzia reginae Banks 観賞
オオギバショウ アフリカ Ravanala madagascariensis Sonn.
オオギバショウモドキ Strelitzia augasta Thunb.
マニラアサ フィリピン Musa taxtillis Nee 繊維を採る
ロクワイ ゆり科 アフリカ Aloe vera L.var. chinensis Harwarth 薬用
柴オモト つゆくさ科 メキシコ Phoeo discoler Hance
女王ヤシ しゅろ科 南米 Arecastrum romanzoffianum Becc. 街路樹、公園樹
コモチクジャクヤシ マレイ Caryota mitis Loureiro 観賞用
カメロップス 印度 Chamaerops excelsa L. 観賞用庭園樹
ヒメトウジュロ 地中海沿岸 Chamaerops himilis L.
アレカヤシ マダガスカル Chrysalidocarpus leutescens Wendl. 鉢物観賞
ココヤシ 東南アジア Cocos nucifera L. 温室用
ケンチャヤシ Howea belmoreana Becc.
トックリヤシモドキ 印度 Hyophorbe verschaffeltii Wendl.
砂糖ヤシ Phoenix sylvestris Roxb. 砂糖、ヤシ酒
ワシントニヤ糸椰子 米国南部メキシコ Washingtonia fillifera Wendl. 街路樹
セイロンオリーブ ほるとのき科 セイロン Elaeocarpus serratus L. 油を採る
タコノキ あだん科 東南アジア Pandanus boninensis Warb. 観賞用
ベンガルヤハズカズラ きつねのごま科 印度 Thunbergia grandiflora Roxb. 花を観賞
ナンバンアカアヅキ まめ科 東南アジア Adenanthera pavonina L. 赤豆を細工にする
露地栽培の植物目録
種名 科名 原産地 学名 備考
ワシントニヤ糸椰子 しゅろ科 米国南部メキシコ Washingtonia fillifera Wendl. 街路、公園樹
ワシントニヤ扇椰子 Washingtonia robusta Wendl.
カナリー椰子 カナリー島 Phoenix canariensis Chaub.
ナツメ椰子 北アフリカアラビヤ Phoenix dactylifera L. 果実を食用、アルコール原料
親王椰子 南米 Phoenix roebelenii O'Brien. 鉢物として観賞
イワソテツジュロ Phoenix rupicola T. Anders. 庭園樹
ビロウ 南支・奄美 Livistona chinensis R.Br.
果実時計草 とけいそう科 ブラジル Passiflora edulis Sims. ジュース原料
竜眼 むくろじゅ科 中国南部 Euphoria longana Steud. 果実を食用
カツサバ たかとうだい科 ブラジル Manihot utilissma Pohl 根塊より澱粉を採る
西印度系アボガード 樟科 印度 Persea amaricana Mill. 果実をサラダで生食
ガテマラ系アボガード ガテマラ Persea americana Mill.
メキシコ系アボガード メキシコ Persea drymifolia Schlecht et Cham.
ポポー ばんれいし科 Asimina triloba Dunal 果実を食用
三尺バナナ ばしょう科 東南アジアアフリカ Musa cavendishii Lamb.
パイナップル あななす科 中央アメリカ Ananas comosus Merr.
バンジロウ しんにん科 メキシコ Psidium cattleianum Sab.
ストロベリーグワバ ブラジル Psidium guajava L. 果実を生食、ジャム
スリナムチェリー Eugenia uniflora L.
フトモモ マレイ Eugenia jambos L.
フェイジョア 南アメリカ Feijoa sellowiana Berg.
レモングラス 禾本科 西印度 Cymbopogon citratus Stapf. 香料
シトロネーラ 印度,セイロン Cymbopogon nardus Rendle
アラバルグラス 北印度 Cymbopogon flexuosus Stapf.
ヴェチバー 印度 Vetiveria zizanioides Stapf.
リナロール樟 くす科 台湾 Cinnamomum camphora Sieb. 香料
キソケイ ひひらぎ科 南欧州 Jasminum odoratissimum L.
マツリクワ 印度支那 Jasminum sambac Aiton.
パチヨリー 唇形科 フィリピン Pogostemon cablin Benth.
タイム 欧州 Thymus vulgaris L. 香辛料
ミッチャム薄荷 Mentha piperita Huds.
スペアミント 北米 Mentha viridis L.
クミスクチン 南アジア Orthosiphon stamineus Benth. 薬草
這トバ まめ科 東南アジア Derris elliptica Benth. 殺虫剤
ウコン めうが科 Curcuma longa L. 肝臓菜、食用色素
ガジュツ Curcuma zedoaria Rosc. 芳香健胃剤
クズウコン くずうこん科 中南米 Maranta arundinacea L. 澱粉
ハナチョウジ ごまのはぐさ科 南米,メキシコ Russelia equisetiformis Schlecht et Cham. 花木
夜香木 なす科 西印度 Cestrum nocturnum L. 芳香木
ダチコウラ メキシコ Datura suaveolens Humb. et D. Don. 花木
タイワンレンギョウ くまつづら科 アメリカ Duranta repens L.
トウワタ ガガいも科 Asclepias curassavica L.
紫紺野牡丹 のぼたん科 ブラジル Tibouchina semidecandra Cogn.
コバノセンナー まめ科 南印度 Cassia indecora H.B.K. 花木
アメリカデイゴ ブラジル Erythrina crista-gall L.
イカダカズラ おしろいばな科 南米 Bougainvillea glabra Choisy var. sanderiana hort.
ゴクラクチョウバナ ばしょう科 南アフリカ Strelitzia reginae Banks.
大麻黄 もくまおう科 オーストラリア Casuarina glauca Sieb. 防風林植
印度ゴム くわ科 印度 Ficus elastica Roxb. 観賞樹
広葉印度ゴム Ficus macrophylla Desf.
アコウ Ficus wightiana Wall. 公園樹
落羽松 松杉科 北アメリカ Taxodium distichum Richard.
しまなんようすぎ しまなんようすぎ科 ブラジル Araucaria excelsa R. Br.
台湾桐 ごまのはぐさ科 台湾 Paulownia kawakamii Ito.
想思樹 まめ科 東南アジア Acacia confusa Merr.
ナタールバーク オーストラリヤ Acacia mollissma Willd.
カンラン かんらん科 東南アジア Canarium album Raeusch.
いとばしょう ばしょう科 Musa liukiuensis Makino
温泉の掘削利用と問題点

深さ70m位までの堀抜き井戸より噴出した60℃の温泉を給湯した。当地の温泉が塩類泉で酸化鉄類の沈殿が非常に多く、使用する配管の種類、大きさ、管長と室温保持等について調査・研究の結果、亜鉛メッキ管の実用性が立証された。

第6表.指宿植物試験場内の温泉および淡水分析表19)

温泉掘秡 温泉井戸 淡水
反應 酸性 酸性 中性
煮沸セル反應 帶黄色ノ
沈殿ヲ生ズ
僅カニ帶黄色
沈殿ヲ生ズ
ナシ
浮遊物質 0.125 痕跡 0.0125
全固形物 5.084 5.188 0.241
珪酸 0.199 0.173 0.085
硫酸 0.207 0.241 0.032
燐酸 痕跡 0.007 痕跡
塩酸及塩化物(塩素トシテ) 2.438 2.752 0.057
硝酸及硝酸塩 痕跡 ナシ 痕跡
亞硝酸及亞硝酸塩 ナシ 痕跡 ナシ
アムモニヤ及其塩 痕跡 ナシ 痕跡
酸化鐵及び礬土 0.048 0.033 0.004
石灰 0.208 0.412 0.036
苦土 0.144 0.031 0.017
加里 >塩化物トシテ 3.623 0.006 -
ソーダ 2.272 -
炭酸瓦斯 0.027 - 0.020
還元力 4.28ミリグラム
(酸素相當量)
7.98 0.073
植物ニ有害ナル物質 ナシ ナシ ナシ
硬度 全硬度 15.98 39.8 3.6
永久硬度 14.82 38.0 2.7
一時的硬度 1.16 1.8 0.9
○表中の数字は1リットル中のグラム数なり.
温泉掘削:地表下70mから湧出する60℃温泉
温泉井戸:地表下2.7mより湧出する50℃の温泉
淡水:地表下30cmからの水,飲用不可.
第7表.温泉に浸漬した金属の腐食19)
金属種類 大正10年
9月7日
大正11年
5月1日
大正13年
6月25日
大正14年
7月22日
大正15年
9月7日
鐵板 62匆 57 腐蝕引上得ズ

鐵板第2回

140 136 128
銅板 14匆 14 14 13 12
亜鉛板 44 44 44 44 44
鉛板 107 106 101 99 97
錫板 91 91 91 91 91
生子板
(亞鉛引鐵板)
16 15 腐蝕引上得ズ

植物試験場の設立目的が温泉の利用法の研究や熱帯植物栽培資料の教育・研究への提供であったが、更に進んで、研究した植物を指宿地方の気候風土に順化せしめ特産物となることもめざした。

2.促成栽培作物の選定

温室温床で蔬菜類の促成栽培を試み、指宿の特殊な産業として発展せしめるよう努力が払われた。促成栽培は研究だけでなく、生産物の販売市場開拓、価格調 査、出荷荷造りおよび輸送方法などを試行・検討した。その結果、1974年(大正13)には小ナスを筆頭に、ネットメロン、キュウリ、トマト等の促成栽培 が有利であることを立証した。小ナス栽培の温室温床は、後面は高さ90cm、前面は高さ72cm、前面の36cmはガラス枠に改善して大正13年式と呼称 された19)


指宿植物試験場栽培温床(大正13年式)19)


指宿植物試験場栽培温床と小ナスの栽培19)

3.小ナス品種の育成


小ナスの品種(1924,大正13年)。

小ナス栽培は独特の温室温床を考察したことによって、生産量を確保した上に東京、大阪の市場で好評を得、「指宿に小ナスあり」の名声を高めた。小ナスは当時京都地方で栽培されていたナスを試験栽培する中から人為淘汰により、「指宿1号」および「指宿2号」を選抜した19)


小ナスの品種「御幸千成」。

1936年(昭和11)に早生真黒の系統品種「都千成」から現在栽培されている「御幸千成茄子」を選抜した。品種名は1935年(昭和10)に昭和天皇が鹿児島市に行幸された際に、「御料茄子」を栽培献上したことを記念して命名した3,21)

4.温泉熱利用甘藷苗の生産

1941年(昭和16)に第二次世界大戦が勃発すると、国策による食糧確保のための甘藷の生産が重視され、多収性品種農林2号の苗生産が急務となり、温泉 熱利用により育苗を重点的に行った。育苗した苗を種苗用として鹿児島県下に配布、普及に努めた。このことは戦時中のみでなく、終戦後の食糧確保に大きく貢 献した。

5.第二次世界大戦終戦後の施設園芸復興

1945年(昭和20)、第二次世界大戦終結後の日本国民の生活は窮乏の極に達した。衣、食、住ともに不足し、特に食料は量不足から米、麦、イモ類の生産が重視され、施設を利用した園芸作物生産は論外であった。

1949 年(昭和24)4月1日から「蔬菜類の統制」が撤廃されることが決まり、関東、関西ほかの市場側より促成栽培蔬菜類の生産が要請されるようになった。さら に、洋菜類、花卉、観葉植物等の需要が生じることも予想されるようになり、この頃より施設園芸の復興を計画・実行した。

最 初は小ナスの栽培を計画した。1948年(昭和23)9月に保存種子を播種したが、古種子ゆえに未発芽に終わった。しかし当時千葉大学在任中の藤井健雄教 授(元鹿児島県農業試験場勤務)が6ヶ年前に缶詰貯蔵されていた種子を貰い受けて播種し、発芽に成功した。育苗して、民間10名に採種用として苗の配布を 行うほか、場内の温室温床での栽培を行い、1949年(昭和24)1月より待望の収穫を開始した。

1949 年(昭和24)4月からの蔬菜類統制の撤廃に伴い、大阪、東京の市場へ出荷を開始した。1個60~80円で取引きされた上、より多量の出荷を要望された。 これに応えるべく植物試験場では指宿町内のかっての栽培経験者10数名に呼びかけ、栽培概要、市況、需要の動向を説明して、栽培への取り組みを勧奨した。 戦争中に鉄材を国へ供出し、ガラスは統制下のため入手難であったため8名のみが栽培を開始したので、彼らに指導を行った。


中山定徳先生。

高級果菜としてネットメロンの嗜好性は日々高まったことから、1950年代にはいり栽培を再開した。アールスフェボリット×ゴッデンクリンクィンから耐暑性に優れた品種「キンコウ」を選抜した。


ネットメロンアールス系より選抜した
「キンコウ」(1960,昭和35年)。

6.温泉熱利用熱交換装置の開発

1950年代には温泉熱利用製塩事業が盛んになり、一方では泉源掘削が急増して泉源当たりの温泉湧出量は 減少し、1955年(昭和30)頃から植物試験場内は自噴の温泉利用が不可能となった。便法としてヘッドの1.8m切り下げ(地表面より掘り下げた部位で 揚湯挿入管をカットする)を温泉審議会に認可してもらい、井筒を埋め、井筒内に湧出した温泉をポンプアップして利用した。

温泉の湧出量は泉源より1~40l/分であり、干潮時にはポンプが空転した。空転防止に給湯パイプ途中よりバイパスで井筒内に温泉を還元した。この方法はエアーレーションを起こし、湯垢形成を増大した9)

1970(昭和45)頃より温泉熱の効率的な利用を目標に、温泉‐水、温泉‐空気熱交換装置の研究に着手した。研究の経過は第8表に示すとおりである。

第8表.温泉利用暖房システムの研究
発表年次 テーマ及び発表誌
1977 温泉を利用する施設園芸用熱交換施設の基礎的研究 鹿児島県資源開発協議会 調査研究報告 No.13
1979 地熱利用暖房システムの開発に関する研究 鹿児島県資源開発協議会 調査研究報告 No.15
1979 地熱利用暖房システムの開発に関する研究 ナス・メロンおよびスイカの栽培と経済性 鹿児島県資源開発協議会 調査報告書 No.16
1983 低温泉水による施設加温の経済性 地下水利用熱交換器の加温効果と小ナスの栽培 鹿児島県資源開発協議会 調査報告書 No.20-2
1985 温泉による施設加温と経済性 -温泉-水熱交換器による栽培施設の加温- 鹿児島県資源開発協議会 調査研究報告 No.22-2
1987 温泉利用熱交換器のスケール自動洗浄法の開発 鹿児島県資源開発協議会 調査報告 No.24-2
1988 温泉利用熱交換器のスケール自動洗浄法の開発 鹿児島大学農学部附属農場研究報告 No.13
1988 On using of geothermal energy for grenhouses and removal of hot-spring water scales by cleaning agents Proceedings of Kagoshima Intenational Conference on Volcanoes
1992 温泉の緩慢給湯法による栽培施設加温法の開  鹿児島県資源開発協議会 調査研究報告 No.29-2


温泉-空気熱交換器略図(左より1、2号)。


温泉-空気熱交換器(1号機、左:正面、右:側面)。


温泉-空気熱交換器(2号機)。


温泉-空気熱交換器(3号機)。

最初はクーラー用凝縮器に送風ファンを装着して温泉‐空気熱交換機を試作した。200㎡のビニルハウスを外気温より10℃差高く保持し、重油利用温風暖房器の19分の1以下の経費で必要熱量を供給した10~12)


コイル式温泉-水熱交換装置略図。


コイル式温泉-水熱交換装置。
(左:貯湯槽、右:熱交換器)

凝縮器は内部パイプへ湯垢(スケール)が付着して熱交換率が低下したためその対策として、コイル式温泉‐水熱交換器を開発した。


プレート式温泉-水熱交換器(ISHIHATA式)。


プレート式温泉-水熱交換器室。


交換器用プレート。
(スエーデン製)


プレート式熱交換装置。

槽内にコイルを装置し、コイルパイプの外側に温泉を流し、パイプ内に水を送り温水を造成した。スケールはパイプの外側に付着し、洗浄による除去が容易であった13)。この装置は交換熱量20,0000kcal・hr-1が限度で、さらに性能アップを狙い、プレート式温泉-水温交換器を開発した8,14,15)。試作器の交換熱量は143,000kcal・hr-1、熱貫流率は4.522~5.92kcal・m-2・hr-1・℃-1で ある。プレートを増設することで熱交換量を増加する事ができ、広面積の施設加温が可能となり、現在、造成した温水を利用したプレート式温水-空気熱交換器 により1,050㎡の温室を加温している。温風加温すると送風による植物体からの除湿効果があり、植物の病気発生を抑制でき、減農薬栽培が可能となった。 なお、熱交換器に付着する温泉スケールの自動洗浄の装置も開発した。